PICTURE DIARY 1910FR2012


ある雑誌の特集ページで、ドライブミュージックを5曲選んでコメントが欲しいと言う依頼があった。音楽と車。切っても切れない関係。ある映画監督の車に同乗した際に、フロントウインドウに展開する景色が変わる度に、その風景に合わせて車内に流れる音楽を替えるので驚きながらも面白かった覚えがある。左折してこの曲、右折してこの曲、直線のプラタナスの並木道でこの曲、信号待ちではこの曲、女の子が横断して来てこの曲と、シーンに合わせてごく自然に音楽を変える。確かにその調子で美しい映像がふわりとクロスしたりワイプしたりと、つなぎのテンポ感やスピード感が洒落て格好いいのが持ち味の監督なので、車でドライブのみならず、毎日の生活の全てがこのフロントウインドウのスクリーンのような感じで擬似撮影され擬似編集され、即興的なライブ映像として展開されているのだろうと素直に納得した。ぼくは車の運転は大好きで、長距離のドライブなどは苦にならない。眠たくなる以外は。そこで、と言う訳ではないが、普段は大音量で聴くことの出来ない音楽を爆音で鳴らす。勿論監督のように一曲一曲景色に合わせてと言うことはなく、あるいは好きな曲だけ選ぶと言うことでもなく、アルバムを一枚通してと言う聴き方をする。一枚を通してと言う作り方をしたアルバムが好きなので。曲のアレンジも細かい感じのものより、一音一音に意思の感じられる、ボーカル、ギター、ベース、ドラムスがシンプルで切れのある音像のアルバムが良い。しっかりと録音されたライブアルバムを聴くことが多い。ドラムのキックの音がどんな具合かは最重要だ。高速道路をゆったりと走るために。

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