PICTURE DIARY 2103WE2012


ハービー山口さんの写真、LAICAのギャラリーに見に行く。12点あまりのプリントが壁に架かり小ぢんまりと佇まうが、内容は厳選されて、濃く深くそして軽やかな見応えの最高のものだ。写真として眼に写るものとその背景が言葉で綴られて、ハービーさんの被写体との関係性が、ハービーさん、被写体、プラスα、と言う三角構図なのが特徴的で大変面白いと思う。例えば、カメラを構えるハービーさんがいて、陰画紙に焼き付けられたのは公衆トイレで並んでオシッコをする表情豊かな幼稚園児たち。実は、ハービーさんの横に、トイレにご用のボーイ・ジョージ氏が立っていて、オシッコをする幼稚園児たちがカワイイ!と大喜びなのだ。振り返った幼稚園児たちはお化粧姿も艶やかな身長も高いボーイ・ジョージを見てビックリ驚きながらオシッコをしているのである。写真にはボーイ・ジョージは写っていない。ハービーさんの写真に添えられた文章でそれと知るのだ。雪化粧の駐車場と轍、そして一人の足跡の俯瞰。そこには、たった今ハービーさんのもとを去って行った恋人の不在がファインダーの外に暗示されて、やはりハービーさんの言葉で語られる。勿論、完成した写真の高い芸術性が全てを語っているわけだが、言葉によって全ての構図と視点の角度が再構築され、写真の意味がさらに強調される。強調がハービーさんの人柄を浮き彫りにして、とても愛しく感じられる。

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