PICTURE DIARY 2311SA2013

PD20131123s
ぼくは煎餅が大好きで、切らしたことが無い。それこそ幼い頃に、米の飯を食べなくなって困った時に、煎餅を与えたら食べたので安心したと、母から聞いたことがある。スーパーマーケットやデパート、商店街で煎餅売り場や煎餅屋を見付ければ、素通りは出来ない。くだんの商店街には昔からの煎餅屋が一軒ある。煎餅好きとしてはどんな煎餅があるものか、品定めをせずに居られない。見に入ってすぐに目についたのが素焼きの煎餅だ。この素焼きは塩も醤油も使わずに、米だけである。まずはそれを一袋買い求めて食すると、まさに焼いた米の香りと味。清廉に成り立つ食感の向こう側に、日本の田舎や古い町並みの幻影が浮かぶようで、わびさびの風情が漂うひととき。良いものに巡り合った時の常で、一つ食べて充分と言う気持ちになった。真に素晴らしいものは後を引かない。

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