PICTURE DIARY 1611FR2012


池袋の日本料理屋で、幼馴染みの「鈴も」の隆太郎、由元くん、幼稚園の時から同じ小学校、中学校、高校と進んだのに、不思議と同じクラスになったことのない桜井と4人で食事する。一座では若年の由元くんが耳年増に鳴りはしないかと心配しながら色々な話題になる。たらればの話しも多い中で、浪人時代に当時渋谷公園通りの山手教会の地下にあったJean-Jeanで、お父様を亡くしたばかりだと言う井上陽水が泣きながら歌う「傘がない」は隆太郎と見ていて今だに強く心に残るという話しから、その隆太郎が京都の大学に入って、クラシックのことなど何も知らないところを、高校の同窓のFに無理矢理連れて行かれたピアノの巨匠、ミケランジェリのコンサートでそのFがいきなり通路に立ち上がり、写真をパシャ!パシャ!と2枚撮る暴挙に出て、演奏中のミケランジェリは演奏しながらキッ!と睨んで、Fは即座に駆け付けた二人の係員に外へ連れ出されたそうだ。「ミケランジェリは演奏を止めなかった?」、「止められなかった」と隆太郎。ミケランジェリの演奏していた曲の一番の見せ場、聴かせ所での出来事だったのだろう。ピアノやクラシックのことなど何も知らない隆太郎は、途方に暮れましたの巻。ぼくは一番大笑いした。何しろミケランジェリは大巨匠の大変人の気難し屋で名を轟かせており、使用するピアノが気に入らないなどの理由から、コンサートのキャンセルや日程の変更は朝飯前で、演奏中に観客が立ち上がり、写真を撮り始めるなど、演奏どころかコンサート自体が中止になってもおかしくはない。ただそのステージは1974年の大阪フェスティバルホールだと思われ、前年の1973年の同ホールでのコンサートを、例によって自身の我儘でキャンセルした穴埋めの演奏会であったはずなので、瞬時に演奏の続行を判断したのかも知れない。その後Fがどうなったか聞きそびれた。ともあれ、ぼくら4人の小さな宴会は和やかに続いた。

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