PICTURE DIARY 1803SU2012


涙が流れた。馬頭琴の話だ。モンゴルの羊飼いの少年が、ある日、親の居ない白い子馬と出会う。美しく力強い馬に成長し、競走に参加して勝者には王様の姫君との結婚と褒美が約束されていたが、王様は白い馬に乗って一番になった薄汚れた羊飼いの少年を見て、銀貨三枚をやるから美しい白い馬をよこせと言った。少年は馬の競走に来たので、馬を売りに来たのではないと言うが、王様の兵士たちに打ちのめされて白い馬を取り上げられてしまう。大きな宴を開いて美しい白い馬を自慢しようとした王様は、跳ね上がった白い馬に振り落とされて恥をかき、羊飼いの少年のもとへ走り去ろうとする白い馬を弓矢で射るように命じる。たくさんの矢で傷ついた白い馬は、少年のもとへ戻り息絶える。悲しみの少年は、幾晩も眠れない夜を過ごす。疲れ果ててやっと眠りについた少年の夢に白い馬が現れて、私の身体を使って楽器を作るように。そうすれば、いつもあなたの傍にいることが出来ます、と言い、作り方を教える。目覚めた少年は、無心に教えられた通りに楽器を作り、嬉しい時、悲しい時、楽器を奏でた。いつでも美しい白い馬と一緒。馬頭琴の話。

Leave a Reply