PICTURE DIARY 2005SU2012


黒猫がもと来た道を引き返すと言うのは余程のことかと言う気がする。塀の上を歩いて来て、その下の方に見えるだろうと思われる我々はサンルームで夕食に用意した弁当を食べるところだったが、先程ROHASの搬出に新宿御苑前に行った帰りに、星のアトリエ手前の曲がり角の所で顔見知りの黒猫を見付けて、挨拶をと思い、車を止めて窓を開けてパンをちぎって投げあげた。黒猫は驚いて1メートル程逃げたが、車を車庫に入れながら「あいつ今頃食ってますよ。」と助手Aが言った。今度は黒猫の方が挨拶にとやって来たのかどうかは不明だが、助手Aが「美味しそうなお弁当だろう。」と弁当を持ち上げて黒猫に見せ、「まずは面接からだな!」と言い放つと、とたんに黒猫はすごすごと回れ右をして今来た道を戻るのだった。いつもならそのまま塀の上を歩いて行く先があろうものを、助手Aの言動にたじたじとなった様子が見える。また出直すか。塀の上を覆う笹竹をかき分け、潜り抜けて去り行くがさごそとした黒猫のたてる物音に、そんなつぶやきを聞いた。黒猫と助手Aの攻防は続く。縄張りは渡さない。

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