PICTURE DIARY 2905TU2012


水戸へ。ドライブミュージックを探す。移動するスピードの中で聴く音楽は、その音楽の様相を変える。それがとても楽しみだ。鈴木茂兵衛商店へ。鈴木社長が店の外を箒と塵取りを使い、慣れた姿で掃除している。良い景色だと思う。そんな隆ちゃんと僕の育ったそれぞれの街の丁度中間辺りに映画館がある。「銀星」と言って、今ではピンク映画専門だ。映画館の前の道を挟んだ真向かいには牛乳屋が有り、そこの白と茶色の大きな犬を撫でようとして手を咬まれたことがある。暫くの間右手に歯形が残った。銀星の看板に視線を奪われた車が何度か牛乳屋に突っ込んだと言う。銀星の入口隣には中華料理屋があって、館内でつながっていた。映画館の一番後ろはカウンター席になっていて、大人達はラーメンやチャーハンを食べながら裕次郎や健さんや若大将の映画を観た。入場料がいくらかは忘れてしまったが、仲間達は切符売りとモギリを兼ねた小さな窓のあるカウンターの下に沿って身を縮めてへばりつき、見付からないように映画館に潜り込んだりしていた。映画の原体験はたくさん観たヤクザ映画と若大将シリーズ。映画館を出た時の空が、いつも少し悲しげに感じられた。

One Comment

  1. かとびい より:

    銀星,懐かしいです。
    祖母が銀星の向かいにあった郵便局によく行くのでついて行った覚えがあります。
    「ゴジラ・エビラ・モスラ南海の大決戦」を観たかったなあという思い出がいちばん強く残っています。その後,中学生になる頃にはピンク映画ばかりになってしまい,けっこうあちこちに出ていたポスターが気になっていました。

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